電気の基本料金0円プランは
一人暮らしでお得?
使用量別に損益分岐を計算しました

この記事の結論

Q. 基本料金0円のプランに変えると、その分だけ安くなりますか?
A. そのままの額は残らない場合が多いようです。
東京電力「従量電灯B」の30Aの基本料金は月935.25円ですが、基本料金0円のプランは従量単価のほうが高く設定されています。
楽天でんき「プランS」で計算すると、月200kWhを使う場合の差は53.25円にとどまりました。
Q. 一人暮らしで効果が出るのはどんな人ですか?
A. 電気をあまり使わない人ほど効きます。
同じ2社の差は、月50kWhなら582.75円、月200kWhなら53.25円、月300kWhなら8.25円と縮んでいきます。
「たくさん使う人ほど基本料金0円が得」という向きではないようです。
Q. 「基本料金0円」ならどれを選んでも同じですか?
A. 看板は同じでも、中身は3タイプに分かれます。
①単価が固定で月額を計算できるタイプ ②市場価格に連動して月額を確定できないタイプ ③賦課金や燃料費調整額まで含めて0円にするかわりに単価が高いタイプ、の3つです。
「0円」という言葉だけでは選び分けができない状態になっています。

「基本料金0円」という言葉を見て、その分がまるごと安くなるのかな、と思ったことはありませんか。

毎月かならず引かれている固定費が消えるわけですから、期待するのは自然なことだと思います。
けれど検針票を見ても、自分の場合いくら変わるのかまでは書かれていません。

この記事では、東京電力の30A契約と「基本料金0円」のプランを、使用量ごとに同じ条件で並べて計算しました。
すると、浮くはずの金額が従量単価の高さでほとんど相殺されていて、しかもその相殺のされ方が使用量によって変わることが見えてきます。

数字を先に見てしまえば、迷う時間はそこで終わります。
自分の使用量ならどうなるのかを、順番に確かめていきましょう。

📊 基本料金0円にすると月いくら変わる?

月の使用量 東京電力(30A) 楽天でんき
50kWh 2,425.25円 1,842.50円 −582.75円
200kWh 7,423.25円 7,370.00円 −53.25円
300kWh 11,063.25円 11,055.00円 −8.25円

30A・東京電力エリア・税込。燃料費調整額は0円と仮定。マイナスは楽天でんきのほうが安いことを表します

1. 「基本料金0円」で実際に浮くのはいくらか

はじめに、消える予定の金額を確認しておきます。
東京電力エナジーパートナー「従量電灯B」の基本料金は、一人暮らしで標準的な30A契約の場合で月935.25円です。

1年分に直すと11,223.00円
電気をまったく使わなかった月でも、この金額は請求されます。

項目 東京電力「従量電灯B」30A
基本料金(月) 935.25円
基本料金(年) 11,223.00円
従量単価(〜120kWh) 29.80円/kWh
従量単価(120〜300kWh) 36.40円/kWh
従量単価(300kWh超) 40.49円/kWh

出典:東京電力エナジーパートナー「従量電灯B」(税込・2026年8月時点)

年に11,223.00円という数字を見ると、これが0円になるなら大きい、と感じるかもしれません。
その感覚自体はまちがっていないと思います。実際、固定費としては小さくない金額です。

ただ、ここから先に少しだけ落とし穴があります。
基本料金を0円にしている会社は、そのぶんを従量単価のほうに乗せているためです。

基本料金0円がどう効くか
自分の使用量で確かめるなら

リミックスでんき「Styleプラス」は基本料金0円・解約金0円のプランです。
市場価格に連動する部分があるため月額は事前に確定できませんが、料金のしくみと固定部分の単価は公式サイトで確認できます。
申込はネットで完結し、合わなければ切り替え直せます。

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※ 最新料金・キャンペーンは公式サイトでご確認ください

2. ところが月935円まるごとは残りません

比べる相手として、単価が固定で月額を計算できる「基本料金0円」のプランを1つ置きます。
楽天でんき「プランS」です。基本料金は0円で、従量単価は使用量にかかわらず36.85円/kWhの一律になっています。

東京電力「従量電灯B」の従量単価は、120kWhまでが29.80円、120〜300kWhが36.40円、300kWh超が40.49円という3段階です。
つまり東京電力の120〜300kWhの単価36.40円と、楽天でんきの一律36.85円を比べると、楽天でんきのほうが0.45円高いという関係になります。

項目 東京電力(30A) 楽天でんき「プランS」
基本料金 935.25円 0円
従量単価 29.80/36.40/40.49円/kWh(3段階) 36.85円/kWh(一律)
月200kWhの実額 7,423.25円 7,370.00円

30A・東京電力エリア・税込。燃料費調整額は0円と仮定し、再生可能エネルギー発電促進賦課金は両社に同じ単価がかかるため除いています。
出典:東京電力エナジーパートナー「従量電灯B」楽天でんき「プランS」

月200kWhを使った場合、東京電力は7,423.25円、楽天でんきは7,370.00円。
差は53.25円です。

消えたはずの基本料金は月935.25円でした。
それが手元に53.25円しか残っていないことになります。差額のほとんどは、高い従量単価のほうへ移っていた計算です。

なお楽天でんきには、この単価とは別に「市場価格調整額」が毎月加算されます。
そのため実際の請求額は、上の表よりも動く場合があります。

3. 使用量別に見ると、差はU字を描きます

ここからがこの記事でいちばんお伝えしたい部分です。
同じ2社を、月50kWhから400kWhまで並べて計算してみました。

月の使用量 東京電力(30A) 楽天でんき 差(楽天でんき − 東京電力)
50kWh 2,425.25円 1,842.50円 −582.75円
100kWh 3,915.25円 3,685.00円 −230.25円
150kWh 5,603.25円 5,527.50円 −75.75円
200kWh 7,423.25円 7,370.00円 −53.25円
250kWh 9,243.25円 9,212.50円 −30.75円
300kWh 11,063.25円 11,055.00円 −8.25円
350kWh 13,087.75円 12,897.50円 −190.25円
400kWh 15,112.25円 14,740.00円 −372.25円

30A・東京電力エリア・税込。燃料費調整額は0円と仮定。
マイナスは楽天でんきのほうが安いことを表します

数字の動き方に注目してみてください。
差は月50kWhの582.75円を頂点として、使用量が増えるにつれてどんどん縮んでいきます。そして月300kWhで8.25円という谷を迎え、そこを過ぎると今度は開いていきます。

つまり差はU字を描いています
「たくさん使う人ほど基本料金0円が得」という説明を見かけることがありますが、少なくともこの2社の組み合わせでは、その向きにはなっていないようです。

なぜU字になるのか

東京電力の従量単価は3段階制で、300kWhを超えた分から40.49円に上がります。
楽天でんきは36.85円の一律なので、この段階に入ると単価の上下が逆転します。
使用量が少ないうちは「浮いた基本料金」が効き、使用量が多くなると「東京電力側の単価が上がること」が効く。その二つの効き目がいちばん弱まるのが、300kWh付近という位置関係です。

一人暮らしの平均帯は、ちょうど効きにくい場所にあります

一人暮らしの使用量は、季節にもよりますが月150〜200kWhあたりに入ることが多いようです。
この帯での差は月50〜80円ほど。年に直しても1,000円弱という規模になります。
期待していた金額とは、少し離れているかもしれません。

逆に言えば、効くのは「ほとんど使わない人」と「300kWhを大きく超える人」の両端です。
在宅時間が短く月50kWh前後で収まっている人であれば、上の表のとおり582.75円の差がつく計算になります。

使用量が少ない人ほど請求額に占める基本料金の割合が重くなる、という論点そのものは、電気代3,000円は一人暮らしで可能?で金額の側から詳しく整理しています。

なお、東京電力に残ったまま基本料金だけを下げたい場合は、契約アンペアを下げるという選択肢もあります。
こちらは一人暮らしのアンペアは30Aと40Aどっち?で手順まで扱っています。

4. 「基本料金0円」は中身が3タイプに分かれます

ここまで楽天でんきを例に見てきましたが、「基本料金0円」を掲げているプランがすべて同じしくみというわけではありません。
料金の決まり方で見ると、大きく3つに分かれます。

① 固定単価型 ── 月額を計算できます

楽天でんき「プランS」がこのタイプです。
従量単価が36.85円/kWhで固定されているため、使用量が分かれば月額を計算できます。
この記事の表がつくれるのも、単価が動かないからです。
ただし別途「市場価格調整額」が加算されるため、完全に固定というわけでもありません。

② 市場連動型 ── 月額を確定できません

リミックスでんき「Styleプラス」は、基本料金0円・固定従量単価17.61円/kWhに加えて「電源調達料金単価」が上乗せされます。
この単価はJEPX(日本卸電力取引所)の市場価格に30分ごと連動するため、月額の総額を事前に確定できません。
この記事の計算にあてはめると、電源調達料金単価がおおむね19.5円/kWh前後より下であれば、東京電力を下回るという関係になります。解約金は0円です。

Looopでんき「スマートタイムONE(電灯)」も市場連動型です。
こちらは基本料金が「制度対応費」に置き換えられていて東京エリアの金額が公式ページに掲載されておらず、従量単価も完全に市場連動のため固定単価が存在しません。
そのため金額の比較そのものができないという扱いにしています。

③ 全部込み一律型 ── 単価は高いが変動要素がありません

四つ葉電力「ほっと5.0安心プラン」がこのタイプです。
基本料金だけでなく、再生可能エネルギー発電促進賦課金・燃料費調整額・容量拠出金・託送費まですべて0円で、請求は45円/kWhの一律単価のみという構成になっています(別途、事務手数料が165円〜220円)。
申込期間内の申し込みに限り12ヶ月間は42.8円/kWhで、13ヶ月目から45円/kWhに自動で切り替わります。
対応エリアは関東エリア(東京都の島嶼地域を除く)で、解約手数料・解約違約金はありません。

3つを並べると、看板が同じ「基本料金0円」でも、比べられるものと比べられないものが混ざっていることが分かります。
月額を計算できるのは①だけ、②は事後にしか分からず、③は計算できるかわりに単価の水準がまったく違います。

「0円」という言葉だけを手がかりに選ぼうとすると、どうしても迷いやすくなります。
自分が金額の確からしさを取りたいのか、安さの上振れを取りたいのかを先に決めるほうが、比べる作業は短く済むかもしれません。

出典:楽天でんき「プランS」リミックスでんき「Styleプラス」Looopでんき「スマートタイムONE」四つ葉電力「ほっと5.0安心プラン」

5. 全部込み一律型が有利になる条件

3タイプのうち③だけは、比べ方を変える必要があります。
再生可能エネルギー発電促進賦課金は、他社であれば使用量に応じて別途かかるためです。単価は4.18円/kWhで、2026年5月分から2027年4月分まで全国一律に適用されます。

月200kWhを使う場合、この賦課金だけで836.00円になります。
四つ葉電力ではこれが0円なので、東京電力側にこの分を足したうえで比べます。

月200kWhの内訳 東京電力(30A) 四つ葉電力
電気料金 7,423.25円 9,000.00円
再エネ賦課金 836.00円 0円
事務手数料 0円 165円〜220円
合計 8,259.25円 9,165.00円〜9,220.00円

30A・東京電力エリア・税込。燃料費調整額は0円と仮定。
出典:東京電力エナジーパートナー「再生可能エネルギー発電促進賦課金」四つ葉電力「ほっと5.0安心プラン」

賦課金まで含めても、四つ葉電力のほうが約906円〜961円高いという結果になりました。
0円になる項目が多いぶん、45円/kWhという単価の高さがそれを上回っている形です。

ただしこの計算には、燃料費調整額を0円と仮定しているという前提が置いてあります。
燃料費調整額は燃料価格に応じて毎月変わる項目で、他社では使用量に応じて加算されますが、四つ葉電力では0円です。
ここが動くと、結論も動きます。

月の使用量 四つ葉電力が下回る燃料費調整額の水準
150kWh 4.75円/kWhを超えたあたり
200kWh 4.67円/kWhを超えたあたり
300kWh 4.58円/kWhを超えたあたり

事務手数料は165円〜220円の中央値で計算しています

つまり燃料費調整額がおおむね4.58円〜4.75円/kWhを超えると、四つ葉電力のほうが下回る計算になります。
燃料価格が落ち着いている時期であれば東京電力のほうが安く、高騰した時期には逆転しうる、という関係です。

ここから見えてくるのは、このタイプの売りは「安さ」ではなく「請求額が使用量×単価だけで決まること」だという点です。
燃料費調整額も賦課金も乗らないので、来月の請求がいくらになるかを自分で計算できます。金額の読みやすさを重視する人には、そこが合うかもしれません。

自分の場合を知る手がかり

手元の検針票(またはWeb明細)に、「燃料費調整額」という欄があります。
そこに書かれている金額を、同じ明細の使用量(kWh)で割ってみてください。1kWhあたりいくらかかっているかが出ます。
その数字が上の表の水準に届いているかどうかで、③のタイプが自分に合うかどうかの見当がつきます。
いま契約している会社の明細を1枚見るだけなので、比較サイトを回るより手間は少なく済みそうです。

6. よくある質問

Q. 基本料金0円のプランに変えれば、必ず安くなりますか?

A. 必ずしもそうとは限らないようです。
基本料金が0円になるかわりに従量単価が高く設定されているため、使用量によっては差がほとんど残りません。
この記事で計算した楽天でんきと東京電力の比較では、月200kWhでの差は53.25円、月300kWhでは8.25円でした。
また四つ葉電力のように、単価の水準そのものが高いため総額では上回るケースもあります。

Q. 一人暮らしで一番効果が出るのは、どんな人ですか?

A. 月の使用量が少ない人です。
差がいちばん大きくなるのは表の左端で、月50kWhの場合で582.75円でした。
在宅時間が短い、エアコンの稼働が少ない、家電の台数が少ない、といった条件が重なっている人が当てはまりやすいと思います。
反対に月150〜200kWhという平均的な帯では、差は月50〜80円ほどにとどまります。

Q. 市場連動型は、結局いくらになりますか?

A. 申し込む前に確定させることはできません。
リミックスでんき「Styleプラス」は固定従量単価17.61円/kWhに電源調達料金単価が上乗せされ、この単価は市場価格に30分ごと連動します。
Looopでんき「スマートタイムONE(電灯)」も同じく完全市場連動で、固定単価が存在しません。
金額を先に知っておきたい場合は、単価が固定されているタイプのほうが向いていそうです。

Q. 合わなかったら、元に戻せますか?

A. 解約金のないプランであれば、戻せる場合が多いようです。
この記事で扱ったプランのうち、リミックスでんき「Styleプラス」と四つ葉電力「ほっと5.0安心プラン」は解約手数料・解約違約金なしと公式に案内されています。
電力会社の切り替えに大家さんの許可は原則として必要なく、スマートメーターが設置済みであれば工事も立ち会いも不要です。
ただし解約の条件は会社ごとに違うので、申し込む前に公式サイトで確かめておくと安心です。

7. まとめ

  • 東京電力30Aの基本料金は月935.25円、年11,223.00円。0円プランに変えても、この額がそのまま手元に残るわけではありません
  • 楽天でんきとの比較では、月200kWhでの差は53.25円。浮いた基本料金の大半は、高い従量単価に移っていました
  • 差はU字を描き、月300kWh付近が谷(8.25円)。一人暮らしの平均帯である150〜200kWhは、効きにくい位置にあります
  • 効くのは両端。月50kWhなら582.75円、300kWhを大きく超える場合は東京電力の単価が上がるため再び差が開きます
  • 「基本料金0円」は固定単価型・市場連動型・全部込み一律型の3タイプ。看板が同じでも比べ方が変わります
  • 全部込み一律型は安さではなく金額の読みやすさが持ち味。判断の手がかりは検針票の「燃料費調整額」の欄です

「基本料金0円」は、期待するほど大きくは効かないかわりに、条件によってはたしかに効きます。
大事なのは金額の大小そのものより、自分の使用量がU字のどこにいるかを一度確かめておくことかもしれません。

一度確かめてしまえば、次に「基本料金0円」という言葉を見かけても、迷わず読み飛ばせるようになります。
気にする時間が減ったぶんを、好きなことに回していきましょう。

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